固いパンと柔らかいパン

「固い」と「柔らかい」って、単語としてだけ取り出すと、両方ともただの形状表現であって、評価ではない。両者の価値は同じだ。
しかし、料理において「柔らかい」って褒め言葉として存在してるけど「固い」は褒め言葉として存在していない。ここに違和感がある。パンを食べていて「やわらかーい」「ふわふわー」という表現を使う場合、プラスの扱いを受ける。なんでだろう? それはただの形状表現でしかないはずなのに。同じように「かたーい」「かちかちー」と表現されたパンは、なぜプラス評価されないのだろう? 事実、固いパンでウマイパンは多く存在しているはずなのに。
外人が日本のパンを評価するときに「ふかふかしてて食べた気がしねぇよ」って言うのを聞いたことがある。彼らは、ハードなパンを食べ慣れていて、パンのウマさというものが、柔らかさに依存していないのだろう。固いプリンなんかも同じことがいえる。いつか、柔らかい固いというものがただの形状表現でしかない、と認識され、うまいというものはまったく別の物であると理解される日がくるのだろうか。そうなったときに、本当の意味で、うまいパンというものが食えるようになるかもしれない。