懺悔

これから書く事は懺悔なのだろうか。懺悔をしたい、という気持ちがあるということは、僕は良い人間でありたい、と心のどこかで思っているのだろうか。死後天国にでもいくつもりなのだろうか。つまり今から書く事は懺悔ではなく、ただの独白かもしれないが、タイトルは懺悔である。
世話になった叔母がいた。
彼女は癌で入退院を繰り返し、何度かお見舞いに行った事もある。ある日、父親から連絡が来た。叔母がホスピスに入院するという連絡だった。そのとき僕はホスピスというものを知らなかったし、父親の話を聞いたら癌の病院だと言うので、また入院か、ぐらいに考えていた。インターネットが現在ほど普及しておらず、不明な用語をさっと調べる、なんてこともしなかった。一緒にお見舞いに行かないか、という父親に対して「仕事が忙しい」と断った。
ホスピスがどういう場所かを知るのは、それから数年後のことだ。叔母と最後に会ったのはいつだったか、もう思い出せない。少なくとも僕はホスピスには行かなかった。