娯楽を知らない人たち

うどん屋に入ると、若い男女数人の客がわいわいと酒を飲んでいた。大学生ぐらいだろうか。誰と誰がつきあっていた、あのとき告白するとかしないとか、メールで連絡があっただのないだの。そんな話で延々と盛り上がっていた。
彼らの中心点は恋愛だった。彼らに冷や水をぶっかけるなら、恋愛ってそんなに重要かね、って言葉になるだろう。まあ彼らには彼らの重要なものがある。
うどん屋のご主人になったら、これが商売を中心になるのだろうか。今日は客が入っただの、新しいメニューはどうだろうかとか。新規の客を増やすには、悪い客を減らすには。税金対策どうしよう。そうやって商売中心の人間もわりと見かける。
結婚して子供を産んだら、子供が中心になるのだろうか。子供中心の人間もわりと見かける。
子供が育ったら今度は結婚はしないのかだの、孫が欲しいだの、自分の暇つぶしの中心を他人にしたがるのだろうか。楽しいのだろうか。それは本当に? 自分は娯楽でそれをやってるんだ、という意識の有無だろうか。