走ることさえ許さぬ

「私を殺せば国がよくなる、などと愚かしい妄言を吐く。いいか、自分の行動をよく考えてみよ。政治もわからないお前は、他人がそう言っているからという理由で、私が悪だと殴りこんできた。自分で見たわけでもなく、自分で考えたわけでもない。お前は真に善意で動いているのだろう。誠に偉い。だが愚かだ。それこそが邪智暴虐というのだ。わかるか? 私のことを悪く行った者の名を言うてみろ。そいつより私のほうが信頼に値すると証明して見せよう。…なるほど、そいつか。よし、兵士ども。そいつを殺してこい。なに、ひどいことをするなだと? お前はよくやった。だが愚かだ。邪智暴虐とはなんなのかをいまだに考えておらん。そしてそのまま死ね」