どうでもいい美しさがある

日常の中には、口にして言うほどでもない美しさがある。道に咲いていた花にさり気なく笑いかけるキミが大好きで、という歌詞のように、誰に教えるでもない美しさがある。こういうもので溢れている。ただクローズアップして、ここはこうイイな、あそこはこうだから良い、だから素晴らしい、となんとなしに理由付けをして、周囲から理解を得たくて、本質から遠ざかっていく。
道を歩いていると、塀の上で猫が丸くなっていた。
転んだ子どもが起き上がり、親のもとに走りついてから泣いた。
思ったより速くコントロール良く、野球のボールが投げられた。
土の上で行列を作るアリがいた。
たぶんテキストにはならない。ブログにはならない。ツイッターに書かれるかもしれないが、本質は本人以外誰にも見えない。
もっとどうでもいいような美しさを。くだらないくて、誰かに電話して教えるほどでもない楽しさを。