能力のない僕へ、能力のある僕から

未来の僕、能力のある僕から、
現在の僕、能力のない僕へ、
言伝をしよう。
現在の僕は、目を閉じている。何が見えていないのか気づいていない。どうやって目を開けたらいいのか、わからない。ただ周囲が見えていないことだけはわかる。焦っている。僕が目を開ける方法を聞くと、他人が忠告をしてくれる、こうやればあけられるんじゃないか、って。でも僕にはそれがなんなのか、わからなかった。
だがそれも必要なことだったんだ。
いつか目が開き、その景色が見えたときにわかる。登っていた山はずいぶんと高く。歩いていた道で足元ばかりを見ていたが、たしかに歩いていたのだ。
そんなふうに思えるといいんだが。
今はその能力がない。