アムロとブライトの視点

ガンダムを見たことがあるだろうか。ガンダムパイロット「アムロ」は、少年だというのに突然ガンダムに乗り込み、その技術を買われて戦争に徴兵される。乗り込んだ戦闘輸送船の名前はホワイトベース。艦長は「ブライト」である。ちなみにガンダムをマトモに一度もいたことがないので、情報の正確性はわからないが。
戦争はいやなものだ。「戦いたくない」という主人公アムロに、船長のブライトが殴りかかる。
アムロ「2度もぶった! 親父にもぶたれたことないのに!」
ブライト「それが甘ったれなんだ! 殴られもせずに一人前になった奴がどこにいるものか!」
子供の頃は、ブライトはヤなヤツだな、と思っていたが、大人になるとアムロは子供だなぁという始点変更が起こる。ブライトの言葉は、子供の頃から聴いているのに、子供の頃は理解できないのだ。
これが「悟りの書」の形状である。
内容はすでに提示されている。みんなも見ているし、きいている。だというのに、理解できない言葉がある。ダンテの神曲の中で、地獄の責め苦を負う人物が、主人公に言う。「人間は目を開いていながら、盲目なのだ」
数十年という歳月を経て、ようやく理解できるような言葉。提示はされている。問題は僕らに「見る目がない」。リンゴの落下もそうだ。ずっと昔から落下していた。だが万有引力に気づいたのは、ニュートンだけだった。そういう視点だ。
すでに示されている。ただ見えていない。見る能力がないのは、僕らの無能に帰依する。