遠くへ

まだだ。まだなにかあるはずだ。もっともっと。世界中には幸福があふれていて、この僕の納得する幸福があるはずだ。美しい風景、楽しい物語、こぼれる笑顔、優しい歌声、どこかにあるはずだ、かならずあるはずだ。命を使うのにふさわしいなにかが、生きるのに値するなにかが。
そうやって、焼けた鉄の上を歩いている。