赤い色が嫌いな画家の話

あるところに、赤い色が嫌いな画家がいた。その画家が描く絵は、赤がいっさい使われない。絵はとても上手だったが、その画家の絵はまったく売れなかった。なぜ赤を使わないのかと聞くと、嫌いだからだと答えた。嫌いでもいいから試しに描いてみてよ、という要望を伝えると、その画家は嫌な顔をしながらも描いてくれた。とても美しい絵になった。画家は気に入らない、と言う。しかし世間の需要はあった。その絵は売れた。
人間が、そもそも持っている能力というものがある。
だが、なんらかの理由により、その能力が使われないことがある。制限する、嫌う、という理由が多いかもしれない。嫌う、ということは、そういうことだ。自分の持っている能力を制限している。