そいつの名は、スイーツコンシェルジュ

僕はタカシマヤのデパ地下で「ある菓子」を探していた。そいつは海外ではわりと有名なお菓子で、多くの人が名前を耳にしたことがあるというのに、実物を見ることがほとんどないという菓子だった。そんなに高級なわけでもないのだが、探してみるとなぜか見つからない。幻の駄菓子、と言ったところか。それとも一昔前は流行っていたが、廃れてしまったのかもしれない。
いろんなところを探していたが、なかなか見つからない。仕方がなく店員にそのことを聞くと「それなら彼に聞くといいですよ」と笑顔で対応してくれた。
「彼?」
「ええ、この地下のすべてを知る人」
彼女は笑顔で僕を連れて行く。数ブロックも歩くと、まるでホテルのフロントのような場所が、ぽつりと設置されていた。細身の中年男性がひとり、カウンターの中に立っていた。店員が探し物を男に告げると、男はにこりと笑って僕を見た。
スイーツコンシェルジュ、とその男は名乗った。

つづ…かない。
あとそのお菓子は売ってない。