マイナスを味方にする

マイナスの意識というものがある。たとえば怒り、悲しみ。絶望、失望。うらみ、つらみ、ねたみ、そねみ。肉欲、怠惰、大食。などなど。
そもそも、人間にはなぜこのマイナスの意識が備わっているのだろうか?
僕の答えは「マイナスの意識が便利だから」だ。戦争中、ある捕虜に行われた絶望の実験がある。真っ暗な穴に、一人ひとり個別に詰め込む。身動きの取れないほどの狭さで、捕虜は立ったままそこで生きる。蓋がされ、時間の概念が奪われる。声は誰にも届かない。会話はできない。こんな絶望的な状況で、多くの人間が発狂した。
ところがごく一部、正気を保つヤツがいる。それは志が高かったり、愛を誓った人間ではなく、悪意を味方につけ、復讐を誓った人間のほうが、より多く生き残ったそうだ。
悪意はそもそも、生きるためのエネルギーだ。より高みへいくためのエネルギーだ。これらのマイナスの意識を、ただのエネルギーの方向性として捉えると、プラスの意識と同じように扱うことができる。人間はそれを味方につけることができる。
そこで、僕は考える。
僕が悪意を抱えるときがあったとして、僕はそれを自分の味方につけているのか? ちゃんと自分が幸福になるために、その悪意を使っているか? 悪意に使われていないか? 自分を幸福にすることをサボらないように。