吉となるものを傍に置く

電車で僕の隣に座ったオシャレなオッサンが持っていた、あめ色になっている革カバンを見て思った。よく手入れがされているのか、色合いは美しいグラデーションになっていて、新品にはない美しさがある。ダメージジーンズのような、ぱっと見の派手さではない。使い込まれた良さというものがある。「劣化していくことが良いことだ」というモノじゃあないと、長く付き合うのは難しい。
愛される道具というものがある。そういうものを傍に置きたい。買った瞬間が最高というものは。たしかにある。しかし、それは好まれるだけで、愛されることは難しいだろう。「年季が入ってきたな」という哀愁を好ましいと捉えられるもの。劣化や、ダメな部分も含めて、良しと言えるもの。愛せるものとは、そういうものだと僕は考える。
ダメージジーンズが流行ったように、「使われた美しさ」みたいなものがあって、最近の革靴は、最初からつま先が変色しているヤツとか売っている。革鞄とかも、いずれそうなるのだろうか。