八百万SF

異音がして壊れそうな電化製品が家にあって、家族がその家電について話をし始めた。
「そろそろ買い換えようかなー」「カタログとか電気屋にあるよね?」「ネットで見られるんじゃないの?」「もう10年だからねぇ」
…話ていると、突然異音が止まり、通常通りに直った。買ってから10年。さすがにガタがきている家電。しかし、人の話は聞いているようだ。さて、このような家電に出会ったことは、多くの人にあると思う。
日本には、八百万信仰というものがあり、万物に魂が宿っているという考え方がある。電化製品に限らず、あいつら、人の話を聞いている、という考え方も文化論として根付いているのだ。
さて、科学的見地としては一切証明されていないし、漫画やオカルトの部類に入るが、サイコメトリーという超能力がある。「物体の記憶を読み出す」という能力だ。情報は四次元ポテンシャルに溜め込まれている。
人間の記憶や思い出のように、物体にも情報として保存されていると考える。問題はどういう形状の情報なのか、だ。音は空気振動で、匂いは微粒子で、映像は光信号だ。すべては情報に過ぎない。受信するシステムがあるかないか、受信して溜め込んでいる情報が解析できるかどうか。
それができたとしたら、楽しいのに。そんな八百万SFのお話。