大衆無意識というリソース

人相、魂、オーラの話なのかもしれないが…。
僕とそいつが二人で観光地を歩いている。すると、僕と一緒にいたそいつは、やたらと他人から道を聞かれたり、写真を頼まれたりする。僕が話しかけられることはまずない。ただ椅子に座ってバカ話をしているだけで、突然、知らないおっさんが話しかけてきたりするのだ。僕には話しかけてこない。
3回目になるとさすがに不思議になり、聞いてみると、そいつはしょっちゅう知らない人に話しかけられるらしい。海外で旅行していて、あきらかに外人なのに、英語で道を聞かれたりするそうだ。
どうやら僕と一緒にいるときだけではなく、常にそうらしい。どういうことだろう? たぶん道を聞いてきたやつを捕まえて「どうしてこいつに道を聞いたんだ?」と問うたとしても、「なんとなく」という答えが返ってくるだけだろう。僕だったらそうだからだ。
しかし、何かあるはずだ。人相、魂、オーラの話なのかもしれないが…。そういう大衆無意識というリソースがあり、言語や映像、音、匂い、味、皮膚感覚、どれにも属さない、もしくはどれも微量過ぎて計測できない「なんとなく」という感覚が、たしかにあることを感じる。