悪とはなにか?

ある拷問の話だ。
深い真っ暗な落とし穴の中に囚人を閉じ込める。穴は深く、身動きが何とか取れる程度。座ることもできず、立ち続けるほかにない。そうやっておいて、生きる程度の食料を与える。真っ暗な穴の中で、時間はわからず、周囲には誰もいない。囚人の大半は発狂していくそうだ。多くの人から愛された人も、志し高い者も。
だがわずかに生き残るものがいる。そういったものは、往々にして、善意や正義を抱いたもの、愛に生きたものではなかった。悪意のあるもの、復讐を誓うものだ。
悪とは、生きるために必要な、人間が内包したエネルギーだ。心の中に悪があることが問題なのではない、悪をコントロールできないことが問題なのだ。