僕と共に老いよ

ときどき「誕生日なんてもうめでたい年齢じゃあないけどね」という言葉を聞く。まあ、枕詞みたいなものなのか、すでに形骸化していて本当にそんなことを思っているかどうかはわからないが。
年齢を重ねて、ここまできた。今、これを読んでいる人間が、どの地点にいるのかはわからないが、年齢をかけて、僕はこの地点まできた。キミだってそこまできた。年齢を重ねなければこられない。80歳の老人を作るのには、80年もの年月が必要なのだ。
老いない人間はいない。死なない人間もいない。だったら、幸福で満たしていくしかない。共に生きて、共に老いていくことは幸福だ。年齢を重ねるということは、そういうことだ。それだけ大量に幸福を積み上げ、幸福で満たしてきた。若造が自己満足している程度の、薄っぺらいラングドシャではない。どっしりとした、年月のみが作り出す、それはミルフィーユのように、バームクーヘンのように。そういう幸福の層だ。
今はそう思える。たぶんわりと、健康だからだ。いつもこんな風に健康だったらいいのに。なかなかそうはいかない。