オタマジャクシをとった、少女の話

作者本人にグロ耐性があるっぽいから書いてみよう。いきおいで書いた。反省はあとでするかもしれない。
http://horror.g.hatena.ne.jp/COCO/20090608#p2
オタマジャクシをとった、少女の話。
一応、念のため、たたんでおきます。
目の前にはバケツいっぱいのオタマジャクシがいた。たった今、目の前の川で取ったものだ。少女はなんの技術も無かったが、無用心な彼らを容易に捕獲する事ができた。
最初は純粋な、そして子供らしい好奇心だった。
「脚を入れたらどうなるんだろう」
早苗は靴と靴下を乱暴に脱ぎ捨てた。ごくりと唾を飲み込む。
そろりと脚をバケツに入れてみる。冷たい感触。オタマジャクシは物理侵食を避けるように、彼女の足を撫で回す。すぐに脚を引っ込める。気持ち良…悪…。わからない。わからない。少女は首を左右に振る。
誰かが心の中でささやく。
「踏んだらどうなるんだろう」
それはきっと、気持ち…わからない。だが少女は操り人形のように、心の中の誰かの命令を肯定した。
バケツいっぱいのオタマジャクシを、イキオイよく素足で踏みつけてみた。ぐちゃりとした感触が、足の裏から伝わってくる。突然現れたジェノサイダの脚から逃がれたオタマジャクシたちは大混乱した。身体をうねらせ、バケツの外に逃亡するものもいた。だが彼女のまだ柔らかな素足が、それを逃すことはない。二度目の踏みつけは、一度目のように優しくはなかった。
三度、四度、五度。最初は数えていた足踏みは、いつの間にか数えられていない。少女は光悦の表情で、頬は紅潮していた。ひと踏みするたびに命は失われていく。自分が残酷なことをしているという背徳感は、彼女の原動力にしかならなかった。
昔、猫に足の裏を舐められたことがあった。ざらりとした感触に飛び退いた記憶がある。気持ち良…悪…わからない。わからなかった。わからないふりをした。しかし今は違う。ぬるぬるとした感触が、足の指の間にも入り込み、足の裏を舐められるよりも、それは、
それは。

最後の一匹を踏み潰すと、少女はため息をついた。
ああ、なんだ。ただのひき肉を踏んでいるのとかわらない。動くから面白かったのか。少女はバケツの中にあった素材を川に流し、脚を水で洗うと、靴を履きなおした。彼女は自分の口元が歪んでいるのを隠したかったが、それは無理だったようだ。
きっと彼女はまたここにくるのだろう。

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090611追記:COCOさん(モトネタとなった作者さん)、スターありがとうございます。