ときどき見える幻

何度か体感したことがある謎の感覚の話。
初見で「なんかどうしょーもなさそーなヤツだな」という見た目のヤツってのがいる。なんかの拍子にテレビを見ていて、電車模型の権威の特集だった。もう、その権威っつーのが、どっからどうみてもモサい。お前、その髪型、どこの美容院でなんて注文したらそうカットしてくれんだよ、野鳥なら巣として気に入ってくれるかもな、もしかしたらだけど! というカンジ。メタボまるだしのTシャツに、しまむらにも売ってねぇよセンスなのだ。まあ短く言うと、ダメなオッサン臭いしかしない。
ところが、このオッサンが模型を作っている映像を、延々流していて、それを見てると、だんだんこのオッサンがかっこよく見えてくるのだ。なんか楽しんでるな、っつーか、見た目が変化しているわけじゃあないのに、なにか引き込まれるものがある。テレビ番組が終わる頃に一つのレイアウトが完成し、そのおっさんは満足げに笑いながら「次はもっとこういうのも作ってみたいですね」みたいな構想を語った。その顔がなんかカッコイイ。なぜだろう。
この変化ってなに? 見た目はまったくかわってない、ダメなカンジなのに、なぜかかっこよく見える、あの幻はなに?
たとえば、正直な話、山下達郎の見た目って、落ち武者に毛が生えた程度だろ。見た目の話ですよ。いろんなトコで音楽も聞いたことあるけど、僕のカンジなんて「あー、はいはい、大御所だね。何曲かなら知ってるよ」というのが僕の印象ですよ。
で、山下達郎のライブに行ってきました。…あのねー、山下達郎カッコイイ。ヤッベ。ライブが終わる頃とか、ちょっとCD買おうかな、と思うぐらいかっこいい。というか自分が『蒼茫』って曲の大ファンだったのを思い出した。自分が山下達郎のファンだったの忘れてた。あの曲聞いてる最中とかちょっと恋に落ちてる。なんか、帽子なのかなぁ、帽子をかぶるだけでちょっと違うのかなぁ。誰だ落ち武者なんて言ったヤツは。僕が許さねぇ。
…なに、あのカンジ。あの幻はなに?