オリジナルを知らない人

友人とカラオケに行くと「その人だけがいつも歌う曲」というものが存在する。その人の十八番ってところなのだろう。しかし、その曲は、その人の歌では聞いたことがあるが、他では聞いたことがなかったりする。つまり、その人が歌う曲が僕にとってのオリジナルなのだ。
同様に、最近のお笑い芸人のネタなんかも、他人のモノマネでしか見たことがない人というのがいる。3の倍数で馬鹿になるとか、エドハルミとか、僕はオリジナルの人を見たことがないが、その人のネタだけは知っている。その人のネタを他人がモノマネしているのを見るからだ。僕にとっては、そのモノマネがオリジナルになってしまっている。
さて、ここまで考えると、たしかにオリジナルというものがあり、誰かのモノマネを経て、僕に情報は伝達されている。
じゃあ、そのモノマネをする人間が、「これはモノマネではない」と言ったら、僕に伝わる情報は、その人が発したオリジナルになるのではないか。そもそもこの世にオリジナル、などというものがあるのだろうか? 誰もが誰かの真似をして、誰かかしら影響をうけ、誰かのコピーをして、オリジナルをオマージュして、何かを作り出しているのではないか。
物事に、オリジナルなんてあるのか? あるように見せるのが上手な見せ方かな。