パワーだ

さだまさしの「償い」って曲、知ってるか? ずいぶんと古い曲だが、たまたま耳にして、どうにも僕はあのパワーにやられてしまった。あの曲を聞いてひどく落ち込み、そして笑った。たかだか一個の脳みそが作り出した、作り話じゃあないか。さだまさしの脳が作り出した、すばらしい作り話。それがあの曲だ。実話を元にしたとか、そんな話はどうでもいい。さだまさしが、あの場面を、あの言葉を、あの視点を、切り出したことが重要だ。彼の作り出したアートだ。あんなものを、あんなすばらしいものを、たかだか一個の脳みそが作り出せることに、僕は感動するのだ。
あのパワーだ。たった数行で相手を徹底的に破壊できるあのパワーだ。僕が感じる人間の、能力だ。そこに憧れる。僕もあのパワーが欲しい。僕は人間というものの能力を、まったく甘く見ていないつもりだ。少なくとも地球環境ぐらいは変えられる能力があると知るべきだ。何千年も生き続ける樹木があるように、何千年もの間、語り継がれて思考される言葉があると知るべきだ。しかし無能な僕は、そのことを時々忘れてしまう。
漫画を読むときも、たった数十ページの読み切りで、目が離せない漫画がある。ブログを読んでいても、たった数行で僕を捕らえて離さない文章がある。時代を超える絵画があり、時空を越える言葉がある。2000年以上前に生まれたキリストの言葉が、僕に届くときもある。それがキリストの放ったパワーだ。そういうパワーだ。人間だけが作り出せる。そのパワーに憧れる。
神様、って思わず僕は叫んでいた。
そのパワーだ。