豊かさの定義

豊かさ、とはなんだろうか? 時々考える。多くの人は「金持ちである」と定義しているのかもしれないが、少なくとも僕は違う。どんなに金持ちでも、浅ましいな、と思わせる行動がある。日本は世界的に見て金持ちだ。ところが混雑する電車の中で、荷物を座席に置き、席を譲ろうともしない人間がいる。身なりは良く、高級ブランドのバッグを持っている。きっと財布にはクレジットカードも入っているだろう。ところが僕は彼らを見ると、なぜこんな貧乏人がいるのだろう、と感じてしまうのだ。
では豊かさとはなんだろうか? ブランド物のカバンを持つことだろうか? バカ高い絵を持っていることだろうか? 資産があることだろうか? 財布に10万円以上入っていることだろうか? 毎日うまいものを食べることだろうか? 芸術を鑑賞することだろうか? 有名であることだろうか?
そこで、僕の定義する「豊かさ」のひとつの指針を書いておこう。「豊かさ」とはなにか。それは「マナーを守れるもの」だ。世界の人間を集め、日本人は突出してマナーが良い。マナーが良い理由は「豊か」だからである。
自国が世界的に見て大国かどうか、個人が資産をいくら持っているか、そんなものは僕の定義する豊かさには関係が無い。マナーが悪い連中を見たら「貧乏人はいやだな」と思う。マナーとは、豊かな人間だけが守れる余裕だ。
歩きタバコをする連中を見たまえ。リードをつけずに犬を連れ歩く人間を見たまえ。コンビニの店員に絡んでいる客。ゴミの分別もできないヤツ。行列に並べない人間。数え上げればきりの無い貧しさ。世界に誇れる豊かな日本でも、まだこれだけ貧しい。彼らの貧しさを見て、悲しくなるのだ。いや、まだまだ豊かになれる余地がある、と見るべきか。そして僕もまた、まだまだ貧しい。豊かさを目指すとしよう。