血液型占いは、すげー面白い

僕は丸くなったのだろうか。いや、ちょっと違うか。それが面白いな、と思える角度を見つけた、というべきか。
血液型占いというものがある。それによると、血液型でその人間の性格がわかるそうだ。性格診断とか、本当の自分とかもわかるらしい。世の中にはいろいろな占いがある。昔からそういうものが存在した。
なぜだろうか? 多くの人は、無知であり、本気でそれを信じた時代もあるだろう。だが現代でもそれを信じている人間は多くいる。いまだに宗教はなくならず、多くの人を救っている。なぜだろう? おそらくだが、彼らはその占いがウソのニセモノだとわかっている。それが単なる見世物だと知っている。それなのに、それを見て楽しんでいる人間の瞳はホンモノだ。
虚業家の康芳夫は、その楽しみ方をしただろう、と想像する。「偽物を見て驚いている彼らの目は本物だ」と彼は言う。マジシャンが魔法使いだと信じている人間はいない。だが、マジシャンを見ている客の目は本物だ。漫画の世界はこの世には存在しない、小説の世界もない。それなのにその虚像に涙を流し、感動し、生き方さえも変えてしまうことがある。
そこで、だ。
僕は血液型占いを考えた「虚業家」のことを考える。ペテン師と呼んだり、マジシャンと呼んでもいいだろう。小説家だったり、漫画家でもいいだろう。彼らが見せた、その虚像は、なぜ多くの人の心を捉えるのだろう。血液型占いを楽しく話す人間の瞳には何が写っているだろうか。
最近の血液型占いの風潮だと、B型を迫害するのが流行のようだ。B型を差別して笑っている「血液型占い好き」を想像する。そしてそれを見ている「血液型占いを売り出した虚業家」の姿を想像する。『本当の見世物とはこいつらのことだ!』彼はきっと爆笑しているだろう。