物が豊かになってきた分、心が貧しくなる、という嘘

「物が豊かになってきた分、心が貧しくなる」なんてネタをわりとよく聞くけど。そんなわけがない。誰が言いだしたのか知らないが、ちょっと考えればわかるはずだ。物が豊かになればなるほど、争いはなくなっていく。「争う」ということ自体が、そもそも「貧しい」から起こる。対して「競う」のは「豊か」だから起こる。起こすことができる。
猿を見たことあるか? あいつらは、食事を得るために、人間の持っているお菓子を奪うことがある。さてなぜでしょう? 戦時下にある児童たちが食べ物を奪い合う。なぜでしょう? 相手の領地や権利を奪う戦争というものがある。なぜでしょう? 戦争が起こっている最中、自由で無意味な芸術というものの成長は恐ろしく悪くなる。さてなぜでしょう?
貧しいから、奪うのは明らかだ。心の豊かさは、物質の豊かさにほぼ正比例する。心が貧しいのは、そいつが物質的に満たされていない、という貧しさから来る。施すのは、常に余裕がある分だ。
ルネッサンス時代に芸術家が多く排出されたのは、それだけ豊かだったからだ。そして今ほど豊かだった時代はない。現代日本は、全員が貴族と同じであり、もっともっと芸術は伸びていく。心は豊かになっていく。当然だ。同人誌なんてものが作れるのはなぜだ? 趣味と言われるものが細分化されていくのはなぜ? みんながみんな同じ趣味ではなく、個人個人が好きなことができるのはなぜ? それは豊かだからだ。
他人からうらやましいと言われたい、そんな程度のモノしか持てないから、いつまでも貧乏なのだ。そんなのは他人の価値観だ。自分の価値観ではない。自分の価値感を持って、価値のあるものを探そう。物質が豊かであれば、いくらでも探せるはずだ。豊かだからこそ探せるはずだ。それは、あなただけに輝く。あなたしか、輝かせることはできない。