ネタの射程距離

ネタにはそれぞれ、射程距離(レンジ)というものがある。
僕は口頭でしか言わないネタと、文書でしか書かないネタというのがある。というのは、面白さの射程距離の問題だ。
口頭で言うネタにはいくつかあるが、口頭で言ったほうが伝わりやすいもの、文章化すると長く理解を得るのが難しいもの、身振り手振りが必要なもの、実は内容が破綻しており読み返すと矛盾しているのがバレるので勢いだけで押し切れるもの、がある。
逆に、文章で書くネタというのは、漢字表記の誤字を狙うとか、文字的な回文を使っているとか、口頭では伝わりづらいものを使う。
『お笑い』というのは、ものすごく射程距離が短い芸である。おそらく1000人のホールでプレイしたら、隅々にまでは届かないだろう。ところが『音楽』というのは、ものすごく射程距離が長い芸である。数万人も入るドームをいっぱいにできる。
『文章』は、多くの人に同時に情報を与えることができる射程距離がある。保存が利き、何度も見返すことができる。『口で言う』は、その場の人間にしか通じないが、全員に同時にアクセスすることができる。
物事にはこのように射程距離というものがある。ターゲットの違いによって、アピールの違いは当然ある。自分が使うものは、どれが有効で、なぜそれを使うのかを考えることだ。そちらのほうが有利なら、それを使えばいいのだ。もちろんニガテな武器もあるだろうが…。