リアルのツンデレは、怖い。

あるセミナーに出席し、まったく知らない男女が集められチームを作った。僕はチームメイトと挨拶をした。その中に、奇妙な感じのする女性がいた。ソイツは、別に特殊な能力があるわけでもなく、挨拶をしないわけでもなく、会話を交わさないわけでもないのだが、なーんかヘンだ。どうも、…うまく言語化できないが、「なんかコイツとはソリが合わない気がする」というオーラの出ているヤツである。
「なんでそう感じるんだろう?」と想像した。ソイツがサディストで、僕もサディストだからだろうか。ソイツが女王様気質だからだろうか。表情や話し方が気に食わないのだろうか。言動を見て、態度を見て、そう感じるのだろうか。よくわからないが、少し距離をとって行動することにした。
チームで作業をするにあたり、僕はなにかと失敗をするので、そのたびにソイツに笑われた。僕は「失敗をしても良い」と考えている人間なので、「まあ、そんなこともあるさ」と流していたが、ソイツが何度もひっかかってくる。なんというか、妙に目に付くのだ。また僕が作業をし損ねる。ソイツがつっかかる。何度か繰り返した。
僕が線を引き損ねる失敗をした。
すると彼女が言う。
「ひいた線には性格が現れている。まっすぐ線が引けないのは性格が曲がってるからだ」
僕は余裕の表情で言い返した。
「まさかだろ。僕の性格がちゃんと線に現れるなら、曲がるどころかねじれてる」
彼女は硬直して、答えを窮した。
そこで、僕は考える。これがエロゲーだったら、どうなんだろう。こいつはツンデレキャラか。なるほど。怖いな。なんつーか、リアルのツンデレって怖い。怖いよ。だって、普段から、つっかかってきて、怒ってるんだもん。なんだよ、くだらないことで揚足とってるんじゃあないよ。ツッコミを入れたいならもっとキレイに入れて見せろ。リアルツンデレ怖い。
それより怖いのは、単に嫌われているだけの相手をエロゲーに例える僕の脳のほうが怖い。