手作り口紅の効果

あるところに非モテがいた。
その男をなんと表現すべきか…。地雷原で踊るのが好きとか、ネタのために体を張ってしまうとか、空気が読めないとか、ある意味病気とか、隠れオタ属アニオタ科とか、SFホラー気質とか、非モテ体質とか、まあ、もっと、わかりやすく書くのなら『ダメな人間』である。彼は、僕は、僕らは、社会人のフリをしているが、基本的に壊れた人間だ。仕方が無い。誰も補修はできない。なぜならもう保障期間切れてっから。ソニータイマーは発動している。そんな彼が女性社員からバレンタインデーのチョコレートを貰った。そして来るホワイトデーを返すことで、ひどく悩んでいるご様子。すると男が、ブログでこんなことを言い出した。

「よし、じゃあこれをブログに書いて特定の四人全員からコメントをもらったら手作りでやったろうじゃん」
http://d.hatena.ne.jp/cry_condor/20080222#1203706609

そして今に至る。
この彼の発言。間違いなく「みんな『手作りしろ』って書け」というフリじゃないですか。というか、それ以外、読めない。指定安価(誤記ではありません)もいいところじゃないですか。これで「手作りしろ」と書かれると、彼は嫌々作るわけですよ。ニヤニヤしながら。嫌だなぁこんなことやりたくないのになぁとかいいながら。で、それを職場に配るわけですよ。
このネタの最大の問題点は『貰う側が洒落のわかるヤツかどうか』というところに尽きる。もちろん洒落が通じる連中ならいいんですが、職場というのは、そうじゃない人間がわりと集まりやすい。常識人が多いところに、キモオタの作ってきた手作りお菓子。全員、素でドン引き。彼の立場が非常に悪くなり(既になっている、これ以上悪くならない、と本人評価しているかもしれないが、それ以上になる可能性がある)、さらには、職場なのに誰も口をきいてくれない、キモイアイビームに常時さらされる、僕だけお茶を淹れてくれない、入っていると思ったら雑巾の絞り汁だった、タイムカードがやたら押されている、目が合ったからセクハラと訴えられる、鞄の取っ手がべっとりなんかの粘液がついてる、盗まれたブルマが自分のデスクの引き出しから出てくる、等の嫌がらせは避けられない状況になります。
まあ、本来なら、非モテの手作りグッズなんて、これぐらいドン引きなわけですが。
彼なら大丈夫。なぜなら彼のアノ姿は、普段からあふれ出るフェロモンを押さえている姿だからなのです。変身前で53万フェロモン程度です。あと2回変身を残していますから何も問題ありません。彼が本気になったら、すごいですよ。彼ぐらいモテフェロモン出ていれば、ホワイトデーなんてウンコをあげたって喜ばれます。どのぐらいフェロモン出てるかって、そうねぇ。だいたい夜になると、すごい数の羽虫だって寄ってきます。メスの羽虫だけが。なんだあの黒い塊は、と思ったらだいたいその中心に彼がいるはずです。竜の巣です。あと屋外で小便するとそれに蟻がすっごい集ります。すげぇ、蟲にだってモテモテだ! もちろんそんな程度じゃないですよ。歩いていると、さっきまで「死んでるのか?」ぐらい静かだった犬にすごい勢いでほえられるとか、飛んでいる鳥が漫画みたいにフンを頭に落とすとか、それぐらいモテまくりです。
ホワイトデーのお返しに手作りの口紅(すっげー色合いのヤツ。C100、Y50ぐらいで『それ荒木先生の原画?』みたいな)とか、プレゼントして、「俺にちょっとずつ返してくれよ(80年代のドラマ風に)」言えば、女子社員全員がその場で「あたしを抱いて!」と叫びますから大丈夫。世界の中心で叫ぶから大丈夫。「ほら、俺が塗ってやるよ」とその場で顔を抑え、近づく唇。そっと紅を引く(色合いは緑だけど)。フェロモン効果絶大。女子社員は、濡れ濡れ、らめぇ、ビクンビクン、絶頂、痙攣、失禁、汚臭、落花、失明、絶望、腹を刺されて首を切断。鞄に詰め込まれる。他の女子社員の腹を裂いて内部確認。中には誰もいませんよ。ナイスボート。
こりゃ、手作りしかないな。うん。