ひ弱を絵にかいたら、自画像

あのー、ヤバイです。ヤバイヤバイ。すっごいヤバイの。僕。死ぬかも。盲腸の時だってこんなに絶望しなかった。あ、看護婦さんと剃毛プレイが実現できるかも、とか正直ちょっと思った。でも今回はそんな夢が見られない。むしろ違う夢みた。砂漠にいて、僕が泣きながらそいつにしがみついてる夢。
何がヤバイって、あのー、瓶の蓋が開かないのです。あ、お前、ちょっと待て。なに「箱入り娘気取りか?」みたいな顔したっしょ。今。ねぇ。違うんだよ。あのさぁ、フルーツの瓶詰めを実家から貰ってきたのね。ごめん、ちょっと嘘をつきました。本当はくすねてきた。実家で。あきらかにあまってるふうだったから。棚の奥のほうに桐の箱に入って、白いふわふわした紙に包まれてたから「これ、ぜってぇうまいだろ」というやつをいただいてきた。
その瓶の蓋が開かない。
ヤバイ。夢とか見た。砂漠でその瓶抱えてるんだけど、蓋が開かないの。そしたら親の声が聞こえるわけ「あの瓶どうしたのかしら、お隣さんの預かりものだったのに」みたいな声が。天空から聞こえてくんの。うわー、ヤッベーみたいになって目が覚めた。っていうか、こういうのってさぁ、なんなの? 僕みたいなひ弱な人間は、そんな高級品を食う資格がないの? すっげぇ蓋が硬い。硬すぎる。プルタブぐらいつけておけよ。なんだよこの瓶。作ったやつの性格が捻じ曲がっていやがるぜぇー。
ここで、おばあちゃんの知恵袋を使うことにした。ほら、僕っておばあちゃん子だから。この間、実家に帰ったときも「ただいま」「じゃあ帰るね」しか言わなかったから。5時間もいたのに。それぐらいおばあちゃん子なわけ。そんなおばあちゃんが言ってた。瓶をあっためると、蓋があきやすくなりますよー。って。
なるほど、温めることにより中の空気が膨張し、蓋が開けやすくなるという科学的な話しだな。…でも、おめーよぉ、これ、白桃の瓶詰めなんだが、これ、あっためるの? マジで? でも開かないと食べられないし、しょうがないから、火であぶるか。ガスレンジであぶってみました。蓋は金属製だから、まあ大丈夫だろう。ジジジ…なんか、焦げ臭くない? 蓋、白かったよね? 色、黒いけど平気? こげ、焦げて…
おっと、あぶりすぎたが、まあこれで開けられるだろう。
ふん。
ぬぅ。
ハッ。
ハァハァ。
ふー。
開かねぇよ! あれ? 腕がすげぇ痛いけど大丈夫? え、腱鞘炎? ウソ。マジで?