正義の弊害

常に心がけていて、いつも思っていることがある。
それは「素直」にモノを言うことだ。
これがめちゃくちゃ、難しい。その言い分では、他人を説得できないから(できないと思っているから)だろうか。それとも、くだらない建前とかプライドがあり、ちっぽけな何かを守りたい、自分をガードしたいという気持ちが働くからだろうか。自分のことだがよくわからないが、とにかく難しいということだけはたしかだ。
ある著作権問題についての発言で、そのことを再認識した。
著作権を主張する人たちは本当に著作物を守りたいのだけなのだろうか。お金を守りたいだけじゃないのか。そうならそう言ってくれればいいのに」
そう。言えばいいのだ。
「金が守りたい」といえばいい。「金のためだ」といえばいい。商売なのだ、金のために働いているのは当たり前のことなのに、だけど誰もいえない。うわべだけの正義を口にする。誰かのためだとか、高い志のためだといえば、多くの人の賛同が得やすい。他人を説得しやすい。そのために自分さえも騙す嘘をついている。
「面倒だから、僕の代わりにお前がやれ」と言えない。仕事でよく見かける。その一文が言えないから、嘘を仕立て上げ、綺麗ごとばかりを並べ立てている。「新しい出会いが、人間関係を成長させる」とナンパしている男は言った。嘘だろ、ヤリたいだけだって言えばいい。穴にてめーのくだらねー棒切れ入れたいって言えばいい。「相手を自分の思い通りにしたいだけ」って恋愛至上主義者は言えばいい。「あらゆるものは僕のために生きて死ね」と言えばいい。全員が、そう思っているのに、正直に言うことはなんと難しいことか。
なぜ言えないのか。その言い分では、他人を説得できないから(できないと思っているから)だろうか。それとも、くだらない建前とかプライドがあり、ちっぽけな何かを守りたい、自分をガードしたいという気持ちが働くからだろうか。
ただ、そういった「素直」の先に、高い志や、誰かのためという愛が、たしかに存在する。まず素直に自分を見つめ、素直に問い、素直に答えることができない人間は、次へ進むことはない。おまえの言動が真実から出たものなのか……それともうわっ面だけの邪悪から出たものなのか? それはこれからわかる。あんたは、はたして滅びずにいられるのかな?