現象と理由

僕ともう一人の同僚が打ち合わせをしている。このフロアの責任者との打ち合わせだ。僕は仕事の関係でデータを持って来た、いわば部外者的な立場にある。同じ社内でも課が違えばそんなモノだろう。打ち合わせも終わり、雑談していると、OLさんが泣きながらフロアに入ってきた。僕が「どうしたの?」と聞くと、彼女は「仕事で失敗しちゃってね、部長に怒られちゃった。」と泣きながら答えた。彼女は、自分の席に座って、泣きながら仕事を続けようとした時、僕と打ち合わせをしていた同僚は立ち上がり、黙ってOLさんの頭を撫でてあげた。OLさんは声を押し殺して泣いた。僕は席を立ち、挨拶をしてそのフロアを出た。
実際、昔あった話だが、少なくとも、聞ける感じじゃあなかったので聞かなかったけれど、「OLさんが仕事で上司に怒られたから泣いていた。」っていうのは「怒られた→xxxxx→だから涙が出た。」ってことだ。あの僕が聞いてるのは、この「xxxxx」の部分なんですよ。なんで泣いてるの?怒られると涙がでちゃうの?だって女の子だもん?ミスはある。すごく問題になることもある。だけど泣いても何も出来ない。その部の部長が無駄に怒りっぽくて彼女に八つ当たりしたとか、そういうのでもなければ、泣く意味がわからない。泣くのは脳内の不快なホルモンが大量に分泌されているものを、体外に排出するために起こる。もしかしたら、そんな「xxxxx」なんてないのかもしれない。理由なんてない。感情が起こるのに、理由なんて必要ないのかもしれない。ただ涙が出た、というのは、理解すべきかもしれない。
だけど、もしかしたら人と人は永久に、理解しあえないかもしれないと思った。
そしてその同僚とOLは今年結婚しました。お幸せに。

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