倒錯エクレトリカパルレード

「姉、ちゃんとしようよ」という物語がある。姉6人に弟1人の物語。家族のドタバタコメディだ。理解と貫禄のある長女お姉さん、素直になれないクールな次女お姉様、天真爛漫な三女ねえねえ、優しく母性溢れる四女姉、弟を下僕にしようとするツンデレ五女姉貴、弟を甘やかしっぱなしのダダ甘六女お姉ちゃん、そんな一家に10年ぶりに帰ってきた弟が織り成す物語。この物語を、男が楽しんでいる。この状態はわかる。言葉ではなく心で理解できる。
では逆だったら?「兄、ちゃんとしようよ」という物語があり、兄6人、妹1人の物語。家族のドタバタコメディだ。理解と貫禄のある長男お兄さん、素直になれないクールな次男お兄様、天真爛漫な三男にいにい、優しく母性溢れる四男兄、妹を下僕にしようとするツンデレ五男兄貴、妹を甘やかしっぱなしのダダ甘六男お兄ちゃん、そんな一家に10年ぶりに帰ってきた妹が織り成す物語。この物語を楽しむ女がいるだろうか。心から「こんな兄がいればっ!」と思っている女性はいるのか?(まあいるだろうけれど)
「ああ、あたしもこんな兄さんが欲しい」
と思っている女性がいる。彼女の名前はベリー・メロン。メロンの家族構成は、両親に妹弟の3人兄弟。両親の兄弟も少なく、年の近い親戚は、5つ離れた自分の妹である。親戚の中で、いつも姉扱いされていた彼女は、しっかり者として育っていく。共働きの両親に変わって家事をやり、妹たちの面倒を見ていたせいか、家事も育児も自然にこなせる。それが特別なことだと、メロン自身が思ったことはない。従順な妹に、生意気な弟。いつの間にか、周りからのメロンの評価は、しっかりしたクールな姉さん肌、といわれるようになっていた。本人もそれはそれで悪くないと思い、周りも彼女はそういう人だと思うようになっていった。彼女が「兄、ちゃんとしようよ」と出会うまでは。

と、いうふうな、お姉ちゃんを、僕に、ください。