そりゃ給料あがらないよ

お昼休みは寂しい。一人でランチを食べる。話し相手はいない。イタリアンに入ってパスタを頼んだ。日替わり定食みたいなモノだ。まわりは女性ばかり。男性はどこで昼飯を食っているんだろうか。イタリアンは女性客が多いのだろうか。吉野家は男性客が多いように。席に座って鞄から読みかけの小説を取り出す。カバーが「まんがのもり」だった。中身は姉本。ある意味エロ本より危険だ。こんな寂しいのが好きなのだ。
食事をしている最中は本が読めない(不器用かもしれない)なので、まわりの会話が入ってくる。隣の席に座っているOLの二人組みが話し合っている。一人は制服姿、一人はスーツだ。制服姿のほうが話し方が若い。小娘と名づけよう。
小娘「今の会社の給料って、合ってないですよ。」
女性「そうね、たしかに安いかも。」
小娘「だって遅刻は1分遅刻しても遅刻ってカウントされているのに、残業は15分区切りなんですよ。14分残業しても、残業代として数えられてないの。マジ信じられない。」
女性「そうなんだ。それは知らなかった。」
小娘「誰も教えてくれないんですよ。そういうの。」
女性のほうをちらりと見たが、落ち着いた雰囲気だ。外装は20代後半に見えるが、35前後だろう。一方小娘のほうは、外装は20代。こんなのでも社会人になれるのか。社会はやはり弱者に優しく設定されているようだ。こんなバカでも雇ってもらえる。いつか気づくだろうか。このまま気づかないだろうか。もう彼女は繁殖可能な大人だろう。これが?親になるのか?これが社会にでるのか?
食事が終わったので、外に出る。晴れ晴れとした気持ちだ。寂しいのはとても幸せだ。

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浮遊研究室(鳳凰編)読了