他人の夢の話ってだいたい面白くないだろ、フツー。

へんな夢を見た。僕はほとんど夢を見ない(覚えてない)ので、メモっておこう。
僕は中学生ぐらいで、幼い弟と妹がいる。妹は4歳。両親は家にいない。大学生ぐらいの女性が僕らの面倒を見ている。家政婦らしく、彼女は家族ではない。とても面倒見の良い女性で、全員がその女性を慕っている。
ある日、妹と女性が夜中の3時ぐらいに買い物から帰ってきた。妹はお菓子を持っていてご機嫌だった。女性も家庭用の消耗品を両手いっぱいに抱えていた。話を聞くと、明日は家に来ることができないので、事前に買っておこうと思った、と言う。妹は夜泣きをしていたので、連れ出したそうだ。
四方が本に囲まれた薄暗い部屋で、僕はソファに座り、向かいにその女性が座っている。弟は部屋の隅から僕と女性の顔を伺うように見ている。不安そうだ。
僕は静かな口調で言った。
「こんな夜中に買い物なんておかしいでしょう」
「ええ、でもどうしても買っておかないと足らなくなると思ったんです」
「あなたの労働時間は過ぎています。労働力が足らないなら人を足しますから、そう言ってください」
「でも」
「それから妹について。こんな夜中に、4歳児が町中を歩いていることを不自然に思いませんか?」
「すいません、でも泣き止まなかったんです。それにk4さん、古いですよ。こんなのを見たことがあります。私が見たい映画のロードショーに小学校低学年の子が来ていて、話を聞いたら、朝の4時に家を出たって言ってました」
「その滅多にいない子供を基準にして、夜中の3時に4歳児が道ばたを歩いているのは不自然ではない、と主張するんですか?」
「それは…その…」
「あなたは自分のとった行動が冷静であり、他に配慮されている、と本当に思ってその主張をしていますか? 僕はあなたの雇用主である僕の親にそのことを報告しても、胸を張って同じことが言えますか?」
「すいませんでした」
「謝罪が欲しいわけではありません」
「怒ってますか?」
「あの…僕が怒ってるかどうかになにか関係があるんですか? 僕が怒ると問題は解決しますか?」
「怒ってますよね、すいませんでした」
「僕は怒ったほうがいいんですか? 謝罪が欲しいわけではない、と言うのは2回目です」
「どうしたらいいですか。私はクビですか」
「…あなたは、自分の雇用が気になって言ってるんですか? あなたがちゃんと仕事をしてくれていることはわかっています。僕らのために時間外勤務をして買物をしてきてくれたこともわかるし、妹のことを思っての行動だというのも理解しています。感謝もしている。でもいいですか。もし夜中にあなたが事故に遭ったり、暴漢に襲われたら、妹では助けられない。あなたは女性なんですよ。日本は平和ですが、かならずしも安全とは言えません。もっと自分を大事に扱ってください」

そして目が覚めた。まったくなんでクソまじめに夢の中で他人を説得しなきゃならないんだ。しかも夢の中の僕は後半の途中ぐらいからめんどくさくなってきてるぞ。ふと時計を見る。夜中の3時だった。ドアが開く音がした。たぶん二人が帰ってきたのだろう。僕は目を閉じた。