自炊しなくなった理由

漫画本の自炊をしたことがある。自分でやったものもあるし、業者に頼んだものもある。たぶん全部で100冊程度だ。読み返したくなる日がくるだろう、と思うけれど、そんなに頻繁に読み返すわけでもないよなぁというような本とか、その気になれば買えるから本そのものを持っている必要はないなというような本とかを自炊に回した。そうやってけっこう高解像度なPDFを作った。PDFにしておけばあとの使い回しはまあまあ便利だ。
ところがここのところ、Kindleで本を買っている。
結局、自炊の有利な点よりも、自炊の不利な点、あるいはKindleの有利な点のほうが高いことが多いからだ。
たとえばクリック1つでその場で買える。自炊の場合、自炊されるそもそもの本を手に入れる必要があり、それをスキャンする手間がある。自分でやるならこの手間だし、業者に発注するなら郵送もしなきゃいけないし振り込みもしなきゃいけない。PDFにしたあとの取り回しも面倒だ。高解像度の画像なのでダウンロードに時間がかかり、手持ちのタブレットに入れためには容量の問題もある。
数年前に自炊代行業が流行り雨後の竹の子のように増えたが、法律的にグレーだろと騒がれてあっという間に減った。ユーザから見て問題はなんだったのかといえば、法律やスキャン代行業者がズルをするなんてところじゃあない。
本当のところは、電子書籍流通の整備が遅いというのが問題なのだ。
CDを買う人間が減るのだって同じだ。CDを買って自炊しているだけだ。実際に音楽を聞くハードウェアに入れるために。だがネットで音楽はすぐダウンロードできたら誰もCDを買わなくなる。CDをハードウェアとして欲しい人間だけが買うだろう。それは音楽を聴きたい人間じゃあない。
(ところで、雨後の竹の子ってそんなに増えるの? 見たことない)