創造の翼は広がり

大人になったら卒業しろ、と言われる娯楽がある。
それは子どもがやることだろ、と言われる遊びがある。
漫画を読むと、それを時々思い出す。
子どもの頃、可動部分もないような人形を手に、人形は自分の頭の中で人格を得て、自由に動き回っていたはずだ。空を飛び、力強く、時には恋に落ちて、味方も敵も作って、世界を救って、誰でもその創造性があったはずなのに忘れている。大人になったらお人形遊びから卒業しろだと?
石川啄木の本から引用すれば教養があって、少年ジャンプから引用したらオタクだと言う。大人になってたしなんだ酒を飲むって娯楽は、漫画を読むより上だと本気で思っているのか。そしてそういう人間は、少量だがいる。まるで靴の中の小石のように、たったそれだけでも十分に僕の邪魔をする。
自分の背中の翼をたまには触ってみると良い。
あまりに触らなくて、生えていることも忘れているんだ。