賢者の髪飾り(姉弟版)

親がお菓子を2つ買ってきた。一つはチョコレートコーティングされており、一つは焼き菓子だった。
「二人でわけなさい」
弟は、チョコレートのほうを食べたかったが、黙って焼き菓子を手に取った。姉は、何も言わずチョコレートのほうを取った。
そうやって、数年が過ぎたある日のバレンタイン。姉がクッキーをくれた。
お礼を言ってから、弟は問いかけた。
「なんでクッキーなの? チョコじゃないの?」
「だってあんた、チョコレート嫌いなんじゃないの?」
姉の答えを聞き、弟は首をかしげた。話してみると、姉は「いつもチョコレートのお菓子をあたしによこすから、チョコレートが嫌いなのかと思ってた」と言う。
「いや、だって普段食べてるじゃん」
「うん、言われれば。そんなに好きじゃないけど食べてるのかなーって」
「お姉ちゃん、チョコレート好きじゃないの?」
「んー、別に。どっちでもいい。…え? あんたチョコレート好きなの?」
姉弟は苦笑してから、二人でクッキーを食べた。