計算が速い人

「キミ、計算速いね」
「そんなことないさ」
「いや、速いよ。ちょいと試してみるかい? たとえばそうだな…問題1。50から100まで足すとするよね。50足す51足す52足す53…って言って、100までだ。さていくつでしょう?」
「ん…? えーと、3825」
「ほら速い。今、君の頭の中がどういう処理をしたか、当てようか?50足す51で101、101足す52で153、そうやって演算したんだ」
「そうだよ。よくわかるね」
「じゃあ次の問題2だ。1から50まで足すといくつでしょう?」
「1275」
「即答だね。そのとおり。では問題3だ。1から100まで足すといくつ?」
「…5050だろ。さっきからなんだよ」
「じゃあ最初の問題1に戻ろうか。50から100まで足すといくつ?」
「それはさっき答えただろ」
「つまり、計算が速いってのはそういうことだよ。1から100までを足した5050から、1から49までの1225を引けば、50から100まで足した数字は出てくるんだ。ところがキミは計算が速いせいで、演算処理してしまう。単純に50足す51足す52足す…とやっていって、済んでしまう。もちろん計算が速い方がいい。処理が速いってことは、それだけでアドバンテージだよ。でも、計算が速い、ってのはただの処理の話だ。コンピュータはそっちだ。では人間は?」