人数のデザイン

夫婦が一組いる。夫の両親が一緒に暮らしている。この時点で、家には4人いる。夫婦はがんばって働き、一軒家を買った。やがて夫婦に子供が3人生まれた。この時点で7人。これが最大値だった。車は大型のワゴンで、7人で旅行に行くなどした。
だが、10年もすると、夫の両親が他界した。20年もすると、子供たちが巣立っていく。25年後には、夫婦は二人だけになった。子供たちは自由に生き、それぞれが家庭を持ち、マンションやアパートで暮らした。ひろい一軒家を、老夫婦が二人だけで使った。7人の人間が暮らせた大きな冷蔵庫も、大きな炊飯器もそのままだった。
それが、今の都市部の状態だと思われる。
夫婦から見たら、自分の社会の縮小である。本来ならば、二人暮らしの設計に戻したほうがよい。小さな冷蔵庫で、小さな炊飯器で十分だろう。しかし、縮小というものは難しいようだ。拡大のほうがコストがかかるはずなのだが…。