日々の描写

電車で座っていると、隣に男女の二人組が座った。二人ともスーツを着ており、かなりかっちりとした見た目をしている。女が上司で、男が部下のように思えた。年齢ではなく、態度や口調だ。
女は席に座るなり愚痴を始めた。男はイエスマンのように同意を続けた。電車に乗っている間、女は延々と愚痴っていた。男は大変だが、そういう仕事なのだろう、と僕はイヤフォンで音をシャットアウトした。
たまに見かける光景だが、二つ思いついた。
ひとつは、「どう思う?」という問いが「同意を得たいだけ」の問いと「意見を聞きたい」問いが存在する。前者を多用する人間とは、あまりかかわらないようにしている。
ひとつは、愚痴によってストレスを解消できる人間と、愚痴によってひっぱられてマイナスになってしまう人間がいる。僕は後者だ。愚痴によっては、何一つ解決しないと考えている。しかし愚痴っている人間がいて、それですっきりするヤツがいる。
それぞれになんらかのスイッチがあるのだろうか。それとも素材によるのだろうか。彼女はあれで幸福に生きているのだろうか。
ああいうのを相手にする職業じゃなくてよかった、と思う。