覚悟の時間

覚悟というものを見ていると、時間軸的にみて、二つの系統がある。ひとつは瞬間的な覚悟。ある案件があり、それに対して「やろう」と決めるまでの時間であり、瞬時に判断した覚悟である。もうひとつは、持続的な覚悟。それは「やろう」と決めた案件に、力を注ぎ続ける覚悟である。
体調が良いとき、たまたま酒を飲んでいるとき、運動した後、食事の前、調子のいいとき、誰もが瞬間的な覚悟ができてしまうことがある。気の迷い、と後から認識されるかも知れないが、少なくともそのときは本気で覚悟している。瞬間的な覚悟とは、その瞬間のみは無敵、というべき最大出力が要求される。
対して後者の持続的な覚悟は、瞬間的な覚悟の後から始まる。こちらは瞬間としてのエネルギー量は少ないが、継続的な出血と耐久を要求される。
両者の耐久性については、短期的に拳銃に撃たれても耐えられる能力と、長期的に雨ざらしになったときに耐えられる能力のように、別けて考えるべきだろう。
たいていの場合、死ぬ覚悟とは、前者の瞬間的な覚悟であり、生きる覚悟とは、後者の持続的な覚悟である。
あるタレントが記者会見で言う。
「彼女が妊娠したので責任を持って結婚します」
そいつへの答えはこれだ。
「なんで責任を持って避妊しなかった?」
前者は瞬間的な覚悟であり、後者は持続的な覚悟である。