人体に影響の出るコンピュータウィルス

コンピュータウィルスというものがある。
昔は、なんらかの媒体を経由して、他人のマシンに入り込み、増殖して悪さをする、というもの。他人から他人へ感染していくことから、ウィルスと名づけられた。昔は、感染媒体がフロッピーディスクだったが、今はインターネットを経由することがほとんどで、最近増えているのがUSBメモリらしい。きっとウィルスという存在を知らない素人が、PCを使える世界になってきたのだろう。
ところで、SFなんかに良く出てくるんだが、人体に影響するコンピュータウィルスの話がある。大抵は、超未来の話で、人間とコンピュータが一体化していて、コンピュータが不具合を起こすという類のものだ。他にも、アニメのピカチューを見ていて気分が悪くなるような、光と音を組み合わせて、相手にダメージを与えるものなんかもある。SFなので、実際にはそういったものが起こせるかどうかは、不明だが、気分の悪くなるピカチューのようなフラッシュ映像なら、今のウィルスでも十分に可能な気がする。
ところで、言葉という圧縮形式は、人体に影響がある。ある文章を読んで怖いと思う。ある文章を読んで感動する。どれもウィルスのように、文章を媒体に「感動」が感染している。読む人間が、ものすごく気分の悪くなる文章があったとしたら、それはウィルスと呼べないだろうか。同じように、コンピュータを通じて、見た人間がものすごく落ち込む映画や、悲しくなる漫画や、つらくなる物語は、人体に影響のあるコンピュータウィルスと定義できないだろうか? では、逆に、健康になったり、感動して明るくなったり、楽しい気分になるものはどうだ? 
そしてここに書かれているような、自分で考えろと強要する文章は、コンピュータを介して読む人間に感染するウィルスと定義できるだろうか?