大人の嗜み

高級料亭で行われるお見合いの席で、上品な和服を着こなした向こうの叔母様が「ご趣味は?」と僕に言う。黒の上等なスーツを着た僕は、自分の向かいに座っている女性と目が合った。ほんのりと頬が染まっている。僕は叔母のほうに向き直り、微笑んで答えた。
エロゲーを少々」

御茶も活花も盆栽も、なんかカッコイイみたいに扱われるじゃん。趣味が読書とか履歴書に書いてあったって平気じゃん。僕から見たら同じなんですけど。そんなぐらいエロゲーって、社会から認められないかなぁ。エロゲー無理でも、せめてテレビゲームとかさぁ。漫画でもいいや。アニメでもいい。あれは、大人が嗜みとして行うような、高尚な存在なのに、なんで児戯みたいな扱いを受けてるわけ? エロゲーをする時はね、誰にも邪魔されず自由で、なんというか救われてなきゃあダメなんだ、独り静かで豊かで…そんな風に社会に認められた存在にならないかなぁ。そんなふうになんないかなぁ〜。
何十人もの社員を前に、社長が朝の朝礼をする。しんと静まり返るフロアに、社長の革靴の足音が響く。「今週は、つい最近プレイしたクラナドについての話をしようと思います。クラナドエロゲーではありません。人生です」って日経新聞の風刺みたいなことを言い出すカンジでさ。
部長と飲みに行った時に、新入社員が「Fate面白いっすよねー」って話をすると、部長が「若造が、わしなんぞ月姫現役世代だ。体験版Disc500円だったんだぞ。わしはあの時から目をつけていたんだ」「さっすが部長〜」ぐらいのカンジでさ。
…そんな会社、絶対行きたくないけど。