被害者は誰で、加害者は誰だ

ある日常の観測。人物設定だけを羅列してみる。

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いじめられっ子:母子家庭。学校でいじめられる。母親が学校を告訴することで、いじめが増長したと思っている。家に金がないことを知っているので、母親に小遣いをせびることができず、本屋で万引きをして、つかまる。
いじめられっ子の父親:友人の借金の保証人になり、借金を背負わされる。離婚後、病死。現在、借金返済義務はない。
いじめられっ子の母親:一人で子供を育てる。低賃金労働者で家にいることがほどんどない。いじめにあうわが子のために、貯めた金をつかい、学校側を告訴。
本屋:万引きの子供を捕まえた。子供の事情をなんとなく知っているが、店の決まりなので、警察に通報。まじめな女の子のバイト。学校の教師をしている姉を尊敬していると同時にコンプレックスでもある。
警察:町の小さな揉め事のたびに呼び出され、残業続き。派出所のすぐ近くで起こった傷害事件を見逃してしまい、責任問題になっている。子供の犯罪については、親の躾がなっていないせいで、何が悪いか教わっていないからだと思っているが、恋人には理解が得られない。そのせいか数日前振られた。
学校の先生:子供の躾について親から攻められ、精神科に通っている。学校外での子供の犯罪については警察がもっとしっかりしないからだと思っている。恋人は、そのことを理解してくれないし、時間を作ってくれないので、先日別れを告げる。フリータの妹にはちゃんと就職して欲しいと思っている。
いじめっ子:運動神経があり、勉強もできるし、女子からもモテる。塾通いで遊ぶ時間はなく、学校が唯一の遊び場。友人も多く、本人は、いじめられっ子とは友達であり、いじると面白いヤツだと思っている程度。遊びに誘ってやってくれといじめられっ子の母親に言われたから誘ってやっているのに、いじめられっ子の優柔不断がいらだたしい時もある。
いじめっ子の母親:他の母親と、強いつながりがある。自分は両親から愛されなかったと信じており、そのため自分の子供には過保護。夫が子供の教育に無関心であるように見える。夫の最近の不振な行動を、浮気だと盲信しており、ナイーブになっている。
いじめっ子の父親:税制改正のため、経営している本屋が危うい。バイトの子にサービス残業をさせてしまうことを心苦しく思っている。毎晩酔っ払って帰るある日、酔っ払いに絡まれて、相手を殴ってしまう。そのまま逃亡。

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まるで永遠につながるウロボロスの蛇のように、どこにも行くことができない。誰が悪で、誰が正義だったのだろうか。正義の味方にやられてしまうだけの悪者が、どこかにいてくれたらいいのにね。