今夜はゴーヤプレイ

スーパーで買い物をしていると、向こうから派手な女が歩いてきた。化粧栄えするタイプで、暑いからなのか、かなりの薄着だ。買い物カゴも持たずに、ヒールを鳴らして歩いてくる。見ていると、女はゴーヤを1本手にとり、握り締めたまま、歩き出した。不意に僕と眼が合った。僕がいたことにやっと気づいたのか、女は唐突に小声で歌を唄った。
「ゴーヤ〜♪ 今日はゴ〜ヤチャンプルゥ〜♪」
女は僕の横を足早に通り過ぎ、違うコーナーへと消えていった。

その…お前の晩御飯、絶対、ゴーヤチャンプルじゃないだろ。なぁ。その素手でゴーヤ1本握ってる姿からしてさぁ。明らかにおかしいわけ。なんで買い物カゴも持たずに、ゴーヤ1本だけ持ってんだよ。なんで突然僕に向かって唄ってんだよ。あれだろ、ご主人様の命令かなんかだろ。絶対あのイボイボだよ。キューリやナスの上位機種だよ。苦いか?苦いのがいいのか?いやしんぼうめ、とかそんなプレイだろ。こいつを見てくれ、どう思う?すごく苦いです、とかそんなんだろ。
まったく太い苦瓜だぜ(当然おれ様程じゃないという確固たる自信の気持ちはあるがね)