エンタテイメントを作った人間

ある観光地に行ったときの話だ。「ここで写真を撮ってください」って足のマークが地面に書かれていた。背景には、巨木が見える。どうやら有名な古木らしい。この巨木についての歴史や生い立ちが書き込まれた看板が出ていた。よく見ると、そのさらに後ろに、有名な城が見える。看板には、その城は織田信長が使っただか、豊臣秀吉が使っただかと、注意書きがされていた。そこから写真を撮ると巨木と城と人物が綺麗に入るんだろう。多くの人がそこから写真を撮ろうと、行列を作っていた。
…あれ? なんだこれ。
これって、ディズニーランドでミッキーと写真撮ってくれるっつーのと、なんか違うのか? 造詣深い日本の歴史? 昔誰か有名人が使っていた城? 美しい自然の巨木? それがどうかしたのか? それって本当なのか? このエンタテイメントは、この土地の観光協会だかなんだかが作ったんだろうけれど、それってディズニーランドとそんなに違うか? 多くの人が、そういった作られたエンタテイメントにたいして、こっちのほうが歴史があったほうが重いとか、言い訳を用意する。その言い訳、本当? 後から適当に思いついた言い訳だよね? ある人間が、エンタテイメントを考えた。この場所に足のマークをつけた人間の才能だ。ここから撮ると綺麗にとれるというエンタテイメントを作り出した。
エンタテイメントが悪い、なんて話は全然していないし、そこに並ぶやつはバカにしているわけでもない(僕は並んで写真を撮った。我ながらよく撮れた)たぶん残された言葉は「こっちも面白い」である。面白さはわりといろんなところにある。自分の目が開いていないから、気づかないことが多いけれど。