思い出はどこにあるのか?

旅行先に行くと、日本人の団体が首からカメラをぶら下げてぱちぱち写真を撮っている。最近だと携帯電話のカメラか?写真を撮ってください、と頼まれたことはない。きっと凶悪な顔をして歩いているからだろう。あと、歩くのが異常に早いので、追い抜かれたことがあまりないから、追いつけない。
そんなわけで、写真の話なんだけれど、みんな芸術のために写真を撮っているわけじゃあない。運動会も、旅行も。みんな写真を撮っているのは、脳内にある「思い出」のデータを引き出すためのバックアップキーだからだ。ハードウェアバックアップキー。そのキーによって、脳内にあるデータを引っ張り出す。いつでも劣化しない状態で思い出せるのであれば、写真は必要ないのだろうけれど、なかなかそうもいかない。
すくなくとも、思い出は、写真の中にはない。あるのは頭の中だ。重要なのは写真ではない。