家に帰ると その3

というわけで、目明し編
とぅるるるるるるるるるん
ガチャリ
「もしもし、××不動産です。」
「○○アパートに住んでいるk4と申します。ちょっと質問なんですがよろしいでしょうか。」
「はいどうぞ。」
「実は数日前に2Fの僕以外の部屋のドアの塗装が剥がされています。いたずらなのか、わかりませんが、なにかご存知ですか?」
「えーと、○○アパートですね?郵便で連絡を入れているんですが、届いていませんか?」
「え、届いていません。」
「あら?そうですか。17日着でお送りしているはずなんですが」
「もしかしたら、チラシにまぎれてしまったのかもしれません。再送していただけますか?」
「了解しました。一応詳細をお話しますね。」
「はい、お願いします。」
「扉の塗装しなおしの工事をします。そのため、扉の痛み具合を調べるので、住人の居ない部屋の扉は塗装の一部をはがして、扉内部の錆具合などを確認をしました。工事は27日を予定しています。住人のいる部屋は、調べていないはずです。」
「なるほど、了解しました。よろしくお願いします。」
「はい、では失礼します。」


つまり、「2Fに棲んでいる人間は、僕だけ」というオチでした。なーんだ、意外と普通なオチだったな。なんともなくてよかったよかった。事前連絡しておいてくれよなー。夜中帰ったらアレだったら、あんた普通ヒくっちゅーねん。ガッシュがなかったら夜も眠れない生活をするところでしたよ。もー、カンベンしてくださいよ。はっはっは。
…。
…?
えええ!?2Fに棲んでいるの僕だけなの?それこそなんで?この間までいっぱいいたじゃん!少なくとも半年前までは全室埋まっていたぞ?どういうこと?このアパートなんかあったのか?ミステリーとかじゃあなくて、話がリアルになってきた。まあ、正直に言おう。たとえ人が死んでいようと、事件があろうと、他人が住んでいて毎日夜中までやかましいとか、タバコ臭くて仕方ないとかよりも、100倍いい。死人になにかできるのか?いつだってなにかするのは生きている人間だ。