今日の黄金体験

ある高級ブランドの財布を見ていて、使い勝手がいいものがないなぁ、ととっかえひっかえサンプルを出してもらった。っていうか、全部がガラスケースに入っているので、手にとって見るのに店員に声をかけないといけないのが、非常に使い勝手が悪い。まあ、そういう見せ方の店なのだからしかたがない。とりあえず、これとこれとこれとこれとこれを出してくれ。ぱかぱか、うーん、小銭入れがファスナーか、がさごそ、なんだこれ、ドル札サイズじゃん、カチャカチャ、留め金がマグネットなんだよなぁ、パチンパチン、内側の小銭入れが90度回転していればなぁ、ん、わかった、全部いらないから戻して。そんな嫌な客だったんですが、そこに入ってきたカップルの会話。腕を組みながら商品を見ている。
女「新しいカワイーお財布欲しいなぁ」
女「これもいいなぁ、あ、あれもカワイー」
女「ほら、見て見て、このバックルのところとか、チョーカワイくない?」
女「あー、これもカワイーなぁ」
女「もうクリスマス限定版でてるよー、ほらほら、カワイー」
男は終始無言で連れ添っている。きっと女がカワイーしか言わないので、「頭悪い女連れているように見えてるかなぁ、俺。どきどき」と思っているに違いない。安心していいよ!見えてます!いや、その、もちろん、他人の持ち物なんて、そいつが好きなように選べばいいし、僕が知ったことじゃあない。でも、財布とか鞄とか、使い勝手がまずあって、それから商品を選べよ。ここが有名路面店だからって理由で来て、なんでもいいから買ってってヤツが実際いるところが、閉口する。こういう人間とは、できるだけ距離を置くか、どうしても近距離に存在してしまう場合は、どういう点が利用できるかを考える。クリスマス間近にカルティエに行ってみると、銀細工コーナーにカップルが群がっている姿を見て、銀は安いからって無理して買うならやめればいいじゃない、僕の鞄の中にはエロゲーが入っていて、カルティエなんてなくてもこれからホットになるのさ!と微笑んでいるイケメンがいたら、それは僕です。あ、姉汁を買いにいかなくちゃ。