それは偽善でさえない。ただの殺意。

ある男は子供の頃から障害を持っていた。知能も平均年齢より低く、肉体的能力も低い。精神的発展も未熟で、不細工で、不器用で、中学に入っても人前で泣けば済むと思っているし、そんな子供が君の子供だったらどうだろう?たしかに、よりひどい環境にいて、よりひどい障害を持っている子供もいるだろう。しかし、自分の子供は自分の子供ただ一人だ。そこにマクロ視点は存在しない。この子供は将来苦労するだろうと、悲観して殺してしまうのは、悪意ではないのか?
ある男は病気で死にそうだった。現代医学ではどうすることもできず、蝕まれた体は日々痛み、意識があるときは苦しみ、意識をなくすように眠り、痛みで意識を取り戻す日々だった。そんな男が君の親だったらどうしただろう?たしかに、よりひどい病人はいて、よりひどい症状を持っている老人はいるだろう。しかし、悲観して殺してしまうのは、善意なのか?
誰もが善意で動いているのに。善意も悪意もなく、人を殺す時にあるものは、殺意だけだ。

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更新履歴 topもスティールボールラン絵に変更。ナイフがあるから大丈夫だにょほー。