1000万円の着物

ある重要無形文化財指定されている着物の作成現場を見せてもらった。展示場には何十という数の着物が展示されており、その中で一番高いものを触らせて貰った。とても細かい細工が施されていて、職人が生地を織るのに2年ほどかかるそうだ。値段は市場価格で1000万円だという。
聞いた瞬間は「ほぅ、さすがにいい値段するな」と思ったが、後々考えてみると、それってむちゃくちゃ安くないか? という気分になってきた。1000万円の一点もの。職人が2年かけて作る…。つまり職人1年に支払われるのは500万円。かかりっきりじゃあないとは言え、それって年収500万なの? 重要無形文化財の技術を継承した人間の年収がソレしかないわけ?
たとえば年収300万円の人間がいて、そいつは一年で300万円分の仕事をする。製作をする人間だったら最低でも300万円のモノを作るから、企業が人材に金を払っている。その値段って、そんなに特殊な値段か? 別に国宝でもないし、めずらしくないように思える。年収って、一年でそいつが作ったものを、企業が買ったときの値段だ。
じゃあ、1000万円の着物買ってよ、って言われても、買わないですけども。