進もうという意思と現状認識

満員電車で中年の男が熱心に本を読んでいる。年齢は40代ぐらいだろうか。なかなか小奇麗な恰好をして中間管理職らしい顔つきをしている。ちょいと覗き込むと「出来る社長はここが違う!」というビジネス書を読んでいた。本には「コーヒーをケチるな」とか「コピーは自分でとれ」とかそんなことが見えた。そうやって、会社を良くして行こうという意思が、会社を良くしていると言えるかもしれない。彼はまったく善意であり、正義の味方と言えるだろう。何もせず酒を飲んで会社の愚痴を言っている連中と比較するのが申し訳ないほどの輝かしい存在だ。
しかし、その…おっさん、君さぁ、さっきっから隣のOLさんに寄りかかっていて、すげー邪魔そうなんですけど。満員電車なんだから無理やり本読んでないで周りの位置を気にしたらどうなんだ?そういう人間が善意というものに振り回されているのだなぁ、と僕はぼんやりと眺めていた。まじめに前進しようと言う前に、自分が向いている方向と進もうとしている地点への距離を見てはいかがだろうか。きっとよりよく進めるはずだ。